矯正歯科

小児、児童期からの矯正治療について

矯正治療の始まるまで

1.初診相談

現在の問題点や、悩みをお聞きし、簡単なレントゲンや写真を診断の資料として撮った上で問題の解決のための治療方針や期間、費用の概略をお話します。
資料をお持ち帰りいただき、ゆっくりお考えいただき、矯正治療が必要と思われたら、次に精密検査を受けていただきます。

2.精密検査(40分程) 36,000円(税抜)

  1. 診断に必要な頭蓋全体のレントゲン、模型、写真をとります。
  2. ME機器を使い顎関節の機能的な問題を診査します。

これらの結果を分析し、正確な診断と治療方針を立てます。
なお、低年齢のお子様など院長の判断により検査内容が簡単な場合の精密検査の費用は25,000円(税抜)になります。

3.検査結果の説明(30分~1時間)

精密検査によって得られた診断と治療方針、期間、費用の詳細を説明します。
治療に対する希望があれば、複数の治療方針を提示し、話し合いをし、充分納得していただいた上での治療方針を決定します。

矯正治療の開始

1.歯磨き指導とクリーニング

矯正治療中にむし歯や歯周病がおこらないような、予防処置をします。
なお、既にむし歯や歯周病がある場合、一般歯科の担当の先生に治療をしていただきます。また、かかりつけの先生が無い場合は、症状に合った治療を得意とし、通院し易い先生をご紹介します。

2.装置の装着

装置の装着後は4週間から8週間ごとに通院していただきます。
治療時間は15分から1時間位です。

3.治療期間(約6ヶ月から3年位)

状態によっても、治療方法によっても大きく異なりますので、検査結果の説明の際にお話します。

4.治療後の定期検査と処置(1年に1~2度)

動的治療(歯を動かしている期間)を終えてから、咬み合わせが安定するまで、3~4年間保定装置を使います。
必要に応じてレントゲンを用いて診査しその後のむし歯、歯周病のチェックをします。歯磨き指導、歯のクリーニング、咬み合わせの調整を行ないます。定期検査ごとに5,000円(税抜)かかりますが、以上すべてを含みます。

矯正治療は平均月1回程度の通院です。

矯正治療の必要性

矯正治療の必要性

歯並びが悪いと様々な障害が起こります。

歯並びが原因で起こる不具合

  • 見た目が悪い
  • 発音しづらい
  • みがきにくく、むし歯になりやすい
  • 歯周病になりやすい

歯並びをきれいにすることは、口元を美しくするだけではなく、身体機能の向上のためにも大事です。
子供の場合、歯並びの悪さは、心理的な影響を持つこともあります。
見た目の悪さから引っ込み思案になってしまうだとか、発音がうまくいかない、食事を食べるのが遅いなどで劣等感を感じることさえあります。
矯正治療は、見た目にとどまらず、機能、精神、などの全身的要素をもカバーするものです。

いつから矯正治療を始めるか

乳歯列期の矯正治療

3歳前後で乳歯列期が完成しますが、この時期の不正咬合は口腔習癖によって起こることが多いです。ムーシールドのような口腔悪習癖を改善するような装置を就寝時に使用することで悪習癖を防止し、正常な顎の発育が促され、受け口やかみ合わせの異常が改善できます。

学童期の矯正治療(矯正早期治療)

6歳から10歳ぐらいで永久歯の上下の前歯が2本から2本生えてきた時期から治療を開始します。この時期の治療を矯正早期治療と言います。
不正咬合の原因である舌や唇の悪い癖や口からの呼吸を改善し、正常な顎の成長を促します。この時期に行う矯正治療は不十分な顎の成長を改善して今後の永久歯が生えてくるようにします。
この時期からの矯正を行うことでほとんど歯を抜かずに矯正治療することができます。(非抜歯矯正治療)

当歯科医院では小児歯科の治療から学童期の子供たちのむし歯や歯周病の予防処置とともに、正常な口腔の発育ができるようにメンテナンスを通じて見守っています。

矯正Ⅱ期治療とは

矯正早期治療後永久歯が生えそろってきたら、上下のかみ合わせを合わせ安定させるためにすべての歯にブラケットやワイヤーを使って緊密に合わせる治療を行います。これを矯正Ⅱ期治療といいます。
早期治療は3カ月から18カ月くらいです。費用は成人の治療費の1/3程度です。
Ⅱ期治療は1年から2年くらいです。早期治療終了後一旦装置を外し、Ⅱ期治療までの間4~6カ月ごとに永久歯の生えそろうのを確認します。

永久歯列完成からの矯正治療

早期治療を行わず永久歯がすべて生えてから矯正を行う場合もありますが、この時期は成長のコントロールができにくいので、歯を並べるスペースを得るために小臼歯を抜歯して治療する傾向があります。

成人の矯正治療

成人でも矯正治療は可能です。ただし成人の矯正で気をつけなければならないのは顎関節症や歯周病に注意が必要なため十分な術前の診査が必要です。

矯正歯科のデメリット

矯正治療のデメリット

歯磨きが難しくなる

矯正治療中は装置がつくため歯磨きが難しくなり、適切に磨けない場合はむし歯や歯周病になるリスクが高くなります。そのため矯正治療前にブラッシングの改善など予防処置が必要です。

見た目が悪くなる

歯の表側に装置が付くため見た目が悪くなる可能性があります。最近では裏側の矯正や取り外しの矯正装置もありますが、適応が限られる場合があります。

本人の意志が大切

取り外しのできる矯正装置を使用する場合もあるため、お子様本人の意志が非常に大切になってきます。
取り外し式の装置の使用に対し協力が得られなかった場合、良好な結果が得られない可能性があります。

再度矯正が必要なこともある

大人になってから再度矯正治療が必要になる場合もあります。
特に「受け口」の場合は、大人になってから外科矯正が必要になる場合もあります。

小矯正(MTM)

小矯正(MTM)

小矯正とは歯を部分的に移動させる方法です。前歯のでこぼこの少しの改善や歯の治療にあたり、部分的に歯並びが悪いところを小矯正により改善することで神経を取らずにブリッジにしたり、磨きやすい環境を作ることが出来ます。

症例1

内側に入った歯を表に移動させ歯磨きのしやすい環境を作る

50代 女性
矯正治療期間:4ヵ月、インプラント治療期間:3ヵ月
価格:矯正治療費 25万円、インプラント治療費 34万円(税別)

矯正治療リスク
歯肉が下がる場合があります。
インプラント治療リスク
外科処置が必要です。

左下の奥から2番目の歯がない状態。

手前の歯が倒れているため歯磨きが難しいので治療にあたり改善する

小矯正により歯を起こす

歯の無いところにインプラントを入れてかぶせる

内側に入った歯が出てきたことで歯磨きがしやすい状態になった。

症例2

下の前歯の叢生(でこぼこ)を治す

30代 女性
治療期間:3ヶ月
価格:25万円(税別)

リスク
歯肉が下がる場合があります。

下の前歯のでこぼこがきになる

下の前歯をストリッピング(小さく)して矯正装置を下のみいれる

3か月後

でこぼこが改善された

症例3

親知らずを利用して歯を補う症例

50代 男性
治療期間:10ヶ月
価格:30万円(税別)

リスク
全ての親知らずを利用できるわけではありません。

黄丸で囲っている歯が親知らずです。
親知らずを引っ張って、抜歯後の空いたスペースに移動させます。

埋まっている親知らずを引っ張ります。

ある程度出てきたところです。

さらに噛ませるように動かします。

矯正治療と被せ物の治療の併用

矯正治療と被せ物の治療の併用

症例

50代 女性
根の治療期間:約3ヶ月、矯正治療期間:約2年、被せ物治療期間:約3ヶ月
価格:矯正治療費 85万円、オールセラミッククラウン 1歯 12万円(この症例では10本)(税別)
合計:205万円(税別)

リスク
歯周病があれば歯肉が下がる場合があります。

初診時

かみ合わせの不具合と歯肉が腫れたため来院

根管治療(神経の治療)を行った後の状態

仮の被せ物(その後プラスチックから金属に変更)を入れる

矯正治療開始

矯正装置を装着

矯正治療中

歯の位置が改善してきている

矯正治療終了

この後仮の被せ物をセラミックに変更する

治療終了

治療例

治療例

乳歯列期(3歳から5歳程度)

ムーシールド

未就学女児
治療期間:7ヵ月
価格:5万円(税別)

リスク
骨格性の反対咬合では改善しない。協力が得られないと改善しにくい。
治療前
前歯の噛み合わせが上下逆になっている
治療中
ムーシールドを夜間に使用
治療後
顎の位置が変わり改善した

早期治療(6歳から9歳前後)

叢生(乱杭歯)

小学生 男児
治療期間:12ヵ月
価格:30万円(税別)

リスク
顎が狭い場合は広げられるが、狭くなければ無理に広げても後戻りしてしまう。Ⅱ期治療が必要な場合がある。
治療前
前歯がデコボコに生えてきたため、顎が狭いため広げる
治療中
顎を横に広げる装置を使用
治療後
広げることで隙間ができて前歯が並んだ

反対咬合(受け口)

小学生 女児
治療期間:15ヵ月
価格:30万円(税別)

リスク
骨格性の反対咬合の場合は改善が難しい。Ⅱ期治療が必要な場合がある。
治療前
上の前歯と下の前歯が前後が逆になっている
治療中
上の前歯を前に引っ張り出す
治療後
前歯が改善した

上顎前突(出っ歯)

小学生 男児
治療期間:14ヵ月
価格:30万円(税別)

リスク
骨格性の反対咬合の場合は改善が難しい。Ⅱ期治療が必要な場合がある。
治療前
上の歯が出ている(正確には下の顎が引っ込んでいる)
治療中
下の顎を前に出して前歯の前後の関係を改善する
治療後
前歯の前後の差が改善した

早期治療とⅡ期治療(早期治療は小学校低学年、Ⅱ期治療は小学校学年から中学校)

小学生 男児
早期治療期間:12ヵ月、Ⅱ期治療期間:20ヵ月
価格:85万円(早期治療とⅡ期治療含めて)(税別)

リスク
治療期間が抜歯矯正に比べて長くなることがある。
治療前
前歯が上下反対に生えてきた
早期治療後
前歯の改善を行った、噛み合わせはまだ完全ではない
Ⅱ期治療後
永久歯が全て生えそろってから噛み合わせを改善した

永久歯列期(14歳以降)

抜歯

20代 女性
治療期間:24ヵ月
価格:85万円(抜歯の費用は除く)(税別)

リスク
骨格の改善は見込めないため抜歯が必要な場合が多い
治療前
前歯がデコボコしている
治療中
小臼歯を抜歯し、その隙間を利用して歯を並べる
治療後
裏側に金属の針金で後戻りを予防する

非抜歯

10代 女性
治療期間:30ヵ月
価格:85万円(税別)

リスク
抜歯より時間がかかる場合がある
治療前
前歯がデコボコしている
治療中
奥歯を後ろに移動する
治療後
小臼歯を抜歯せずに治療終了

成人の矯正治療

症例1

30代 女性
治療期間:27ヵ月
価格:85万円(税別)

リスク
歯肉が下がる場合がある。歯根吸収が起こる場合がある。
治療前
前歯が上下で前後が反対になっている
治療中
下の前歯を後ろに引っ張る
治療後
前歯が改善した

症例2

30代 女性
治療期間:24ヵ月
価格:85万円(税別)

リスク
歯肉が下がる場合がある。歯根吸収が起こる場合がある。
治療前
前歯に隙間がある、出っ歯になっている
治療中
隙間を閉じて引っ込める
治療後
前歯が改善した
装置

装置

マルチブラケット一般的なワイヤーの矯正治療

3次元的に歯を動かす

マルチブラケット装置は、最も一般的な方法です。
歯の表面にブラケットというワイヤーを通す装置をつけ、歯をワイヤーで連結しすることで3次元的に移動を行う装置です。
普通は、ブラケットもワイヤーも銀色の金属です。
すべての永久歯を対象としていますので、永久歯が生えそろう12歳以上の方ならお使い頂けます。
歯を細かく動かすことができ、矯正治療の中でスタンダードであり優れた装置です。

舌側歯の裏につける、見せない矯正治療

他人の視線をきにしないで矯正ができる

一般的な矯正治療は、約2年かかります。好条件が重なったとしても、1年は、装置をつける日々が続きます。
従来の歯の前につける装置をつけることで、大きな精神的ストレスを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
長期間にわたる治療だからこそ、よりストレスフリーな状態で過ごして頂きたい。そんな気持ちから生まれたのが、歯の裏側につける舌側矯正です。
特に、社会人の方の中には、お仕事、プライベート両面において、従来の矯正装置がわずらわしいと感じていた方も多いかもしれません。
舌側矯正で、周りに気兼ねなく、きれいな歯並びを手にいれましょう。

舌側矯正の得意症例

舌側矯正は、特に以下のような症例には、力を発揮します。

  • 奥歯が正常で、前歯のみが気になる方
  • 上顎前突(出っ歯)
  • 咬み合わせの深い方

ワイヤレスワイヤーのない矯正治療

取り外しのできる透明な装置

ブラケットやワイヤーをつけず、取り外し式の透明な器具を歯に付けていただくことで咬み合わせを直す。それが、ワイヤレス矯正です。
この器具は、インビザライン、クリアアライナーと呼ばれます。透明で薄いので、装着しても気付かれづらく、患者様の見た目のニーズに応える装置です。

インビザライン・クリアアライナー見た目がきにならない透明な矯正装置

見た目がネックで矯正に踏み切れなかった方へ

インビザラインやクリアアライナーは、透明で見た目を気にせずにすむ矯正装置です。
プラスチックでできており、薄いマウスピースをイメージしていただけると良いと思います。
外見上、装置をつけていることは、ほとんどわかりませんので、矯正装置の見た目が気になり、矯正治療に踏み切れなかった方にも安心して治療して頂けます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、アメリカのアラインテクノロジー社より提供されている、カスタムメイドの矯正装置で、これまで世界80か国以上で400万人以上の治療実績があります。(2016年10月現在)

インビザライン・システムは、FDA(アメリカ食品医薬品局)の医療機器として認証を受けているマウスピース装置で、ISOを取得している最新の工場で製造されています。

日本において、インビザラインを含む国内外のすべてのカスタムメイドのマウスピース型矯正歯科装置は、それぞれの患者様ごとに作成している装置で、市場流通性がないことから、薬事法上の医療機器にも、歯科技工法上の矯正装置にも該当せず、医薬品副作用被害救済制度が適用されない場合があります。

マウスピース型矯正歯科装置(インビザライン)のマウスピース材料自体は日本の薬事認証を得ており、アレルギー等に関する安全性は確保されています。