顕微鏡歯科

歯の治療はとても細かい作業です。
口の中は暗くて狭く見えにくいため、肉眼での治療には限界があります。
当院では、より正確かつより精密な治療を行うため、肉眼の4~24倍の大きさで見ることができるマイクロスコープを導入しています。

心臓外科手術など精密な治療が求められる医科の特定分野では、拡大鏡を使用することが一般的になっています。
マイクロスコープからは光が照射され、これまで暗くて見えづらかった歯の細部にわたり、高倍率で見ることができます。マイクロスコープを使用することにより、歯科医師の経験や勘だけに頼ってきた治療では出来なかった高度なレベルの治療を行うことが可能になります。根管治療や歯周病など治療のレベルを格段に向上させることができます。

しかし、全国の歯科医院でマイクロスコープが設置されている医院は5%程度と少ないのが現状です。また、マイクロスコープを設置していても、歯科医師がそれを使いこなせる知識と技術を身に付けていなければ、精度の高い治療を提供することはできません。当歯科医院では、より精密で高度な治療を患者様に提供するため、日々研鑽を積み、技術の向上に努めております。

マイクロスコープを使用して見た映像

マイクロスコープを使用して見た映像

千円札

3.4倍

8.5倍

21.3倍

口の中

3.4倍

8.5倍

21.3倍

肉眼では見えないところまで良く観察できます。

顕微鏡歯科の利点、欠点

顕微鏡歯科の利点、欠点

利点

  • 2-24倍まで拡大して見ることが出来る
  • 拡大することで精度の高い治療を行うことが出来る
  • 肉眼ではわからなかった歯の状態がわかる
  • 治療中の映像を録画することで、治療後に見ることが出来る

欠点

  • どこの歯科医院でも同じレベルで治療ができるわけではない
  • 肉眼の治療に比べ治療時間が長くなる場合がある
  • 治療の回数がかかる場合がある
  • 一部の治療を除き自由診療になる

カリーナシステム

口の中を治療しているため患者さん自身は自分の歯の治療の状態を確認することが出来ません。
カリーナシステムは治療中の動画を撮影することで治療後にどのようにマイクロスコープで治療されていたのかを動画で見ることが出来ます。

顕微鏡治療の研鑽について

顕微鏡治療の研鑽について

現代の医療では拡大した視野で治療することは当然のように行われています。1960年代から脳神経外科・眼科・耳鼻科では手術用顕微鏡が使われるようになり、歯科では1990年代から主に根管治療(根っこの治療)に実用化されるようになり、アメリカでは根管治療専門医は顕微鏡の習得が義務付けられております。

顕微鏡治療に関して院長が卒業した当時、大学の講義ではほとんど学ぶことのない分野であり、卒業後に知り、学ぶという状態でありました。
現在でもそれの状況はあまり変わっておりません。

当院では根管治療以外の歯科治療全体での顕微鏡の応用の研鑽を積むため歯科の顕微鏡治療の第一人者である山梨県開業の秋山先生に師事して日々研鑽を積んでおります。

秋山先生は自身の宣伝を嫌うため一般的に知られていませんが世界的に活躍している先生です。2011年には医療用顕微鏡やレンズで有名なドイツの国家的な企業であるカールツァイス本社にてカールツァイスの役員に対して日本人として初めて講演を行っています。翌年には、ネパールの歯科会の国の代表に直接たのまれて一週間ネパールの歯科大の教授、開業医、歯科大の学生に講義を一人でボランティアとして国際貢献し、2012年には、ニューヨークのコロンビア大学でも講演しています。
アメリカ ブラジル ドイツでの講演も多数行っています。日本が世界に誇れる歯科医師です。

秋山先生とアメリカ歯周病学会にて

顕微鏡治療の特徴を生かした治療例

歯髄(歯の神経)の保存治療

歯髄(歯の神経)の保存治療

根管治療に使用する「MTAセメント」とは
MTAセメント(プロルートMTA)は、1993年に米国ロマリンダ大学のDr.Mahmoud Torabinejadらにより開発され、1998年以降に欧米各国で、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて高い臨床評価が得られています。
ケイ酸カルシウムを主成分とするMTA(Mineral Trioxide Aggregate)は、生体親和性や封鎖性、石灰化促進作用、デンティンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性に優れた革新的な材料です。

MTAセメントによる歯髄保存療法

なぜ歯髄を保存する必要があるのか?

歯の神経の役割
一般的に歯の神経といわれる部分は歯髄といいます。歯髄は歯の内部にあり歯に栄養を与える役割があり、一般的に「神経」と呼ばれています。
むし歯の治療の際にむし歯を除去すると歯髄まで大きくむし歯が進行していることがあります。歯髄にむし歯の細菌が入り、歯髄が正常な状態に戻らない場合は抜髄処置(根っこの治療)を行うことが多いです。むし歯を取ったときに歯髄が露出してしまう場合に神経を保護するため、歯髄の出た部分に直接MTAセメントを使用し、歯髄を保存する方法があります。(歯髄に近いデンタルと露髄の写真) MTAセメントによる歯髄保存療法は従来の方法に比べ少なくとも同等かそれ以上の効果があることが明らかであり、歯髄を保存することが出来ると報告されています。

参考文献:MTA全書 その特性から臨床テクニックまで 著者 Mahmoud torabinejad

治療例

むし歯を除去すると歯髄が露出した

露出した歯髄を消毒し、MTAセメントを詰める

その後コンポジットレジンで補強し、セラミックインレーを作成

セラミックインレー装着

治療前

レントゲンでむし歯が歯髄に近いことがわかる

治療後

レントゲンで神経に達するところまでMTAセメントが詰められていることがわかる

MTAセメントによる歯髄保存療法のメリット

  • 歯髄や歯を削る量を最小限にできる
  • 歯髄を温存できる
  • 歯の破折のリスクを減らし、歯の寿命がのびる可能性がある
歯根破折とは

歯根破折とは

歯の歯髄(神経)を取っている歯は一般的に脆くなりやすいと言われています。
今までその歯に問題がなくても、歯の根っこが割れてしまった場合にあるときに急に問題が起きてくる可能性があります。

症例

急に歯肉が腫れてきた

レントゲンで根を取り囲む黒い像が見られる

歯の割れた部分にのみ深いポケットを認める

抜いた歯を顕微鏡で確認すると根っこにヒビが入っているのがわかる

注意点

  • 必ず歯髄が保存できるわけではなく、歯髄の状態により保存できない場合があります。また既に歯髄が失活している(死んでいる)場合は適応にはなりません。
  • 保険適応外である
パーフォレーションリペア

パーフォレーションリペア

治療例

根管治療が終了した状態

歯の根の一部に穴が空いて骨までつながっている状態(パーフォレーション)

このまま穴が空いた状態では細菌が骨まで進行してしまう。
MTAセメントを使用して穴を塞ぐ。空いている穴からセメントが骨の方まで一部出ている。

4年後の状態

穴が塞がっている 骨の方まで詰まっていたセメントは吸収している

6年後の状態

経過良好で症状はない

外傷歯

外傷歯

転んで歯をぶつけてしまった場合に歯が欠けたり神経が死んでしまう場合があります。
特にお子さんの場合に学校などで遊んでいるときにぶつけてしまうことがあり、ぶつけた衝撃で歯の神経(歯髄)が死んでしまうと歯の根の成長が止まってしまいます。
歯の根の成長が止まると歯の根が通常よりも短くなってしまい、歯周病になった場合に歯が抜けやすくなる可能性があります。
MTAセメントには硬組織の再生を助ける作用があり、神経が死んでしまっていても歯の根の成長が通常のように進む可能性があります。

根が短い

治療例

ぶつけた衝撃で歯がぐらついたため金属の針金で固定

死んでしまった神経(根管)にMTAセメントを詰める
歯の根の横の部分(側枝)にも詰まっている

3年後

根の先が成長しているのが確認できる
側枝の部分も封鎖されている

根管治療

根管治療

治療例1

以前にも数回根っこの治療(根管治療)した歯の歯肉が腫れてきたことを主訴に来院

レントゲンでは根の先が黒く写っている(骨が溶けている状態)

根の先の方まで薬が詰まった状態 骨が病変が大きいためMTAセメントを使用

4ヶ月後に確認すると黒く溶けていた骨が白く再生してきたことが確認できた

治療例2

以前に歯根端切除を行うも改善しなかったため再度根管治療を行った症例

根管治療を行なったところ根管が2つに分かれていて1本が未処置になっていた
(黄丸は根の先に炎症があり出血している、赤丸は未処置の根管)

未処置の根管を確認
(未処置の根管を清掃した)

先に未処置であった根管の充填

大きく穴があいている根管の充填をMTAセメントを使用した

治療前

根管治療を行なったが改善せず歯根端切除を他院で行なったが改善しなかった(根の先が短くなっている)

治療直後

充填直後のレントゲン

1年後

治療後1年後のレントゲンで根の先の吸収している骨が回復しているのがわかる

ファイル除去

ファイル除去

根管治療(根っこの治療)に使用する器具は1ミリ以下の太さの非常に細い器具を使用するため治療中に偶然折れてしまうことがある。
折れた破片自体は金属なので細菌のように悪さをすることはないが、再度治療するときに邪魔になる場合がある。
折れた破片は小さいためマイクロスコープを使用して除去を行う。

治療前

治療中にマイクロスコープで確認すると金属が見える

レントゲンで他の部分より白く写っている部分は金属片と思われる

治療後

金属を除去した状態

レントゲンを撮影すると白い部分が除去されたことがわかる

歯石除去(歯周治療)

歯石除去(歯周治療)

歯石は歯の表面の見える部分だけではなく歯と歯肉の間に付いています。
通常は見えませんが顕微鏡で直接歯肉の中を覗き込むと歯石が確認できるため除去することが出来ます。

症例

歯周病の進行を検査する。

顕微鏡を使用し歯肉の中の歯石を確認した。

詳しくは秋山先生のyoutubeをご覧ください。(歯科医療従事者向けの動画で、英語です)
https://www.youtube.com/watch?v=PnTpaN1yNHY

むし歯治療

むし歯治療

通常よく行われているむし歯の治療も顕微鏡を使用するとよく確認できます。
特に歯にヒビが入っていることが多く、その中にむし歯が進行していることをマイクロスコープを使用するとよく分かります。

エナメル質に見られるマイクロクラック

歯周形成外科

歯周形成外科

結合組織移植術

歯周病などによって歯肉が下がってしまった場合に行う処置です。歯肉が下がると歯が伸びたように見え、見た目が悪いだけでなく、むし歯になりやすかったり、知覚過敏になったりします。そこで上顎の裏側から取った結合組織を、歯肉が足りない部位の上皮と骨膜の間に移植する方法です。露出した歯根を覆ったり、歯肉の厚みを確保します。

術前

歯肉が一部下がってしまっている

術直後

口蓋から採取した組織を移植

術後

歯肉が回復した状態

歯根端切除について

歯根端切除について

根管治療しても改善しない治りにくい難治性であったり、以前に根管治療を行なったが症状が再発したといった場合に外科的に改善させる方法が歯根端切除です。

適応

  • 根管治療を行なったが違和感や痛みが持続している
  • 根管治療を行なったが病変が改善せず、根の先に膿が溜まっている
  • 根管治療をするためには被せ物を外す必要があるが、被せ物を外せない、または外さないで治療を希望する場合

適応できない場合

  • 重度の歯周病の場合
  • 元々根が短い場合
  • 歯の揺れが大きい場合

このような場合は切除すると歯が抜けてしまう可能性があります。
また、歯根端切除治療中にヒビが歯の全体に入っていることがわかった場合も適応外になります。

治療例1

マイクロスコープで歯根端切除を行なった症例

初診時

10年以上前に根管治療を行いかぶせた歯に根の先に病変が見つかる
病変は隣のインプラントに感染すると危険であり早期の治療が必要と判断したが、被せ物は外さないで治療することを希望されたため歯根端切除を行う

治療後

処置後のレントゲン
人工骨の部分がまだ完全に骨と置き換わっていないため白っぽく見えるが病変は消えている

治療例2

マイクロスコープにてひびを確認し、外科的に歯を保存

初診時

10年以上前に治療した歯の根元の部分の歯茎が腫れたことで来院

レントゲンで根の先が黒くなっている

根管治療を行うが改善しないため歯根端切除を行う
マイクロスコープ下にて処置を行い、根を拡大して観察するとヒビが入っている

ひびを切除し、骨の吸収している部位に人工骨を入れる

切除したひびの入っていた歯の一部

治療後2年の状態

骨が溶けて黒くなっていた部分が小さくなってきた
症状の再発はない

治療例3

根管治療では改善しなかったため歯根端切除を行なった症例

初診時

初診時写真

レントゲンで根の先の骨が黒く溶けている

根管治療を行うも改善されない

歯根端切除を行う

骨が溶けている根の先を観察すると歯石がついている
歯の根の外側に汚れがついていれば歯の中を掃除する根管治療では改善しなかったことが理解できる

切除後に人工の骨を移植する 白っぽくレントゲンに写っている部位が移植した人工骨

半年後の状態

少し移植した人工骨が自分の骨と混ざり合わさってきてる

術後2年の状態

術後写真

移植した人工骨が自分の骨との境界がわからなくなっている